障害者と芸術

私が子どもの頃、養護学校の中でできた図工の時間の作品や国語の時間の書道の作品などを、市の展覧会に出品していた時代があった。もちろん他の学校と同じく、作品は差別なく同等に審査されていたと思う。
県下で初めての養護学校が出来た年の、小学部に1年生で私が入学した頃から2年ほどそういった状況が続いていたと記憶している。
 その中で、養護学校から出品する作品が、比較的よく、他校を差し置いて入賞する事が多かったようで、それが問題となり、各種展示会等審査の場からは養護学校からの作品は除外されることになった。
 そのことをどうして知ったかというと、2年の時の担任の先生が書道の専門的な先生で、よく書道の作品を市に出していただいていた。その先生も養護学校に来るまでは普通学校で勤められて、おそらくは審査をされる立場だったと思うが、だから、養護学校除外という事が決められた時に、その場におられたのか、後でその知らせを聞いての事か、どちらかは分からないが、教室を出る時に、その先生が独り言のようにボヤいていたのだ。「何で養護学校の子の作品を別にするんだ」と、かなり不機嫌そうな顔で。
 もっと細かくボヤかれていたのか、以前から問題になっていて、それを私が聞いていたのか、もう大分前の事で忘れてしまったが、なんせこのような事実があった事だけは真実であると私の記憶が物語っている。
 そんな事を知っているものだから、余計に私は今の「障害者の芸術」と特別に別けている今の体制にシラケムードを感じるし、健全者の障害者に対する差別観を感じずにはおれない。